コラム21:バックラッシュ

2013.2.15 事務局員 森元 衆代

 2012年総選挙後、「日本の国会議員の多くが改憲に賛成であることは非常に残念です。憲法9条は世界にとってのモデルで、逆戻りしたら大きな損失」との発言を残して、ベアテ・シロタ・ゴードンさんが、昨年12月30日89才で亡くなりました。日本国憲法草案作成に携わり「男女平等に関する条項」を提案した米国人女性です。その精神は憲法14条、「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」に生かされています。

 国民が幸せに生きることや教育を受けること、勤労が権利として謳われた新しい憲法の下、女性の社会進出もすすみ、課題はあるものの1990年代には、男女雇用機会均等法、男女共同参画社会基本法ができ、その実現を目指す施策も取り組まれきました。そんな中、林業白書(2011年度版)によると、林業就業者4万6618人中、女性が7015人(15%)を占めていて、近年農林水産業全体の就労者数が減っているのに、唯一林業だけが35才未満の若い人の就業が増えているそうです。

 一方で、国際労働機関(ILO)の年次報告書「世界の雇用情勢-女性編」による労働市場の男女格差も、先進34カ国が加盟する経済協力開発機構(OECD)の報告の男女間給与格差も90年代縮小傾向であったものが、2007年以降再び拡がり、2012年末の報告による給与の中央値で比べると、子どものいる女性は61%低く、先進国の中でワースト1なのだそうです。女性の生きにくい社会は、本質的に99%の人が生きにくい社会です。

 また、1992年から始まった内閣府の「男女共同参画社会に関する世論調査」での「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきだ」という考え方についての調査結果は、1992から2009年まで賛成が減る傾向で反対が徐々に上まわっていました。しかし、昨年末の報告によると、賛成51.6%、反対45.1%と反転、賛成が15年ぶりに上まわり、特に20代で賛成が19.3%増の50%、反対が20.5%減の46.6%と大きく変動しています。

 最近の報道によると、維新の会は憲法96条の改正を今国会に発議すると息巻いているそうです。2006年の教育基本法改悪、2007年国民投票法成立と、したたかに憲法「改正」を目論み、時期を待つ安倍首相は、昨年11月米国ニュージャージー州の地元紙スターレッジャー(約37万部)に掲載された「慰安婦」問題を否定する意見広告に賛同者として名を連ねています。

 昨今とみに物忘れのひどい私ですが、決して忘れてはいけないことがあると思います。知らなければならないこと、深く考えねばならぬことも。その人の名は知らず、走るのは無理にしても、後に続く者を信じてせめて歩こうと思っています。

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