コラム52:「働かせ(働き)方改革」~格差と貧困を無くそう~
2017.2.28 事務局員 日下 努
みなさん、安倍内閣が押し進めようとしている「働き方改革」という言葉をご存じでしょうか。
2016年6月に閣議決定した「働き方改革」の主な内容は、①同一労働同一賃金の実現など非正規雇用の待遇改善、②長時間労働の是正、③高齢者就労促進、といったことが課題とされています。この字面を見ただけなら「働き方改革」を応援したくなります。現に働く人の中からも賛意を示す人も決して少なくないと聞きます。
しかし、内容をよく見てみると安易に賛成できるものではなりません。例えば①の同一労働の正規と非正規の格差是正ですが、2016年末に発表された同一労働に関するガイドライン(案)によると、QアンドA方式による抜け道の指南書になっており、事実上の正規と非正規の格差を固定化することが盛り込まれています。
また②の長時間労働の是正に関しては、大手広告代理店の女性社員の痛ましい事件を契機に残業時間の上限規制制定が注目されていますが、政府が検討しているのは月間残業時間60時間で繁忙期には過労死基準を超える100時間を上限としようとしています。すでに国会に上程されている労基法「改正」案では、裁量労働を拡大し、「高度プロフェッショナル制度」(初めは高所得者限定だが次第に400万円台まで拡大がねらわれている)の名の下「残業代ゼロで働かせ放題。過労死しても自己責任」で長時間労働の削減どころか拡大が企まれています。
以上簡単に振り返っただけでも、文字上の表現とは裏腹に、真逆なことが進行しようとしています。私たちはせっかくの労働法制に関するテーマが国会で議論となっているので、逆に格差と貧困を直ちに無くすために、①最低賃金時給1,500円、②均等待遇、③生活保護拡充、④労働時間短縮などを一歩でも押し進めていけるよう世論を高めたいものです。