コラム25:弁護士 伊吹 勝美

労働契約法の改正

2013.6.5 弁護士 伊吹 勝美

 今回のコラムでは、最近施行された改正労働契約法について書きたいと思います。法改正のポイントとしては、

①有期労働契約が繰り返し更新されて、通算5年を超えたときは、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約に転換できるルールを定めたこと(無期労働契約への転換)
②最高裁の判例で確立した「雇止め法理」がそのままの内容で法律に規定されたこと(雇止め法理の法定化)
③有期契約労働者と無期労働契約者との間で、期間の定めがあることによる不合理な労働条件の相違を設けることを禁止する規定が設けられたこと(不合理な労働条件の禁止)です。

 最近は、雇用形態の多様化が進み、フルタイムで働く正社員以外の労働者である「パートタイマー」、「有期契約労働者(期間の定めのある労働契約で働く労働者)」、「派遣労働者」などのいわゆる非正規労働者の割合が3分の1を超える状況になっています。

 中でも有期労働契約による雇用形態は、企業にとっては業務量の変化に応じて弾力的な雇用調整が可能になり人件費を削減することが可能であること、一方、労働者にとっては、育児、介護などの労働者側の事情に応じ、勤務地、責任の度合いといった点で多用な選択が可能になることなど、労使双方のニーズに適合することから近年、特に増加しています。

 しかし、契約期間が限定される有期労働契約の働き方は、長期の雇用の保証がされておらず雇用が不安定であること、賃金その他の待遇面などで期間の定めのない労働者に比べて格差があるなどの問題があります。また、反復継続されてきた有期労働契約の雇止め、契約期間途中での解雇といった雇用関係終了のトラブルも数多く発生していました。今回の改正は、これらの事情が背景となっていると考えられます。

 有期労働契約が無期労働契約に転換される要件としては、①同一の使用者との間で締結されている②2以上(更新が1回以上行われている)の労働契約が、③通算で5年を超える場合に、④労働者が使用者に対し、一定期間内に無期労働契約への転換を申込むこととされています。

 そして要件を満たした場合には、労働者の申込みさえあれば、使用者が改めて承諾をしなくても、無期労働契約に転換されます。

 注意すべきは、今回の法改正で、条件を満たす有期労働契約が、自動的に無期労働契約に転換されるわけではありません。あくまで、労働者が希望し、申込みをすることが前提となっています。したがって、労働者側が無期転換を希望しない場合には、通算5年を超えて以降も、有期労働契約を更新することができます。

 今回の改正は、労使双方にとってかなり重要なものですが、とりわけ使用者側に与える影響は大きいと思われます。今後、有期労働契約の実態がどのように変化していくのか興味深いところです。

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